SSブログ

春の県大会終了

初の大会運営を終えた。
何年かこの軟式野球の世界に関わってきたが、
運営というのは大変である。
特に運営をやりながら試合もこなすというのは、
なかなか難しいことだと改めて知った。
ただ、一度経験してしまえば、
文化祭のようで面白いところもある。
一つのイベントをみんなでつくる、というのはやり甲斐のあることだ。
多くの人の手で、大会は成り立っている。

不思議な感覚も手にした。
もし我々が、こんな大会は面倒だからやめてしまえ、
といえば、やめてしまえるかもしれない、という感覚だ。
なぜ大会をやるのだろう、と改めて考えたのである。
つまり、今までは大会があるから、それに向けて頑張ろう、とか、
「大会」があるのが前提で部活動は成り立っているのだが、
いざ運営をする側になると、「大会」などは決して前提ではない、
ということに気付く。
やる気がないと大会などできない。
今大会は第37回。
つまり37年間、脈々と、「やる気」を出して大会を続けてきた。
そこには高校軟式野球に関わってきた多くの方々の想いが重なっている。

大会運営をやってみて、
もっと長野県の軟式野球を盛り上げていきたい、
もっと多くの人に知ってほしい、という気持ちが出てきた。


ところで話は変わるが、
今回の会場となった上田城跡公園野球場はとても古いことで知られる。
県営上田が出来てからは、高校野球で利用することはまずなく、
一線から退いた球場である。
ただ、未だ現役で、お金をとって貸し出している。
軟式では、他の球場を押さえたかったのだが、
どこも空きがなく最終的に春は上田城跡になった。

久々に来て見ると、なかなか景色がよく、風情もある。
P5123465.jpg
しかし、ダッグアウトは狭く、スコアボードは錆だらけ。
大会運営上、会議室やら本部室やらを開けたのだが、
黴臭く、砂埃に埋もれている。
審判室に至っては、それが室内であるのに、
まるで「もののけ姫」に出てくる深い森のように苔むしていた。
グランドの状態もまっすぐラインが引けないほど悪い。
せっかくのいい雰囲気の球場が、
まったくの手入れ不足だ。

ある人は、「ここは『撮影所』だから」と開き直っていたが、
「撮影所」である前にここは有料で貸し出している市営球場である。
古いものは、古ければそれだけで価値があるのではない。
それが生きて、現役で使用されてはじめて、
古いものの意味が社会の感性に響く。

海野宿や柳町の、旧北国街道の町並みは、
それがあるというだけでは、本当にただの襤褸屋敷通りだ。
それをどのように現役の建築物群として生かすことができるか、
が重要なのだ。
建築、道具、もろもろの人が生み出した「モノ」というのは、
人が使ってこそその活き活きした表情を見せてくれるのではないだろうか。

このまま手を入れないでいたら、「撮影所」ですらなくなってしまうだろうと思う。
市は、この球場を壊さず残すのなら、その責任を感じてほしい。
染屋台球場を廃止した今、この城跡公園野球場をどうするのか、
本当に真面目に考えてほしい。
こういうことが地域の「文化」につながるのだから。


P5063396.jpg
旧北国街道柳町にある天然酵母パンのお店「ルヴァン」。
古いものと新しいものを融合・調和させ、居心地の良い空間をつくっている。
店主は地元出身で東京から戻ってきたという。
建築自体は、お隣の岡崎酒造の所有物で、新たな梁を加えロフト部を増設しカフェに。
また奥の蔵との連続性をもたせ、レストランに利用している。
ここの店主のような生き方は、憧れである。

建築は、文化をつくる。
雰囲気、空気というのは、文化に直結するのだが、
そうしたものは、建築によるところが大きい、と僕は考えている。
建築を軽んずる事なかれ。
ちょっとした用件で松商学園高校へ行ってきたのだが、
正面の木造校舎は大変素晴らしい。
最近大修理を終えたところだというが、
古いその建物が、また新たな生命を与えられ、
なんともあたたかくも格調高い空間に仕上げられていた。
生徒も使っている現役の校舎だ。
こころなしか、生徒にも落ち着きと気品を感じる。

古いものを古いままにしておく、ありのままに「保存する」、
などというのは、単なる欺瞞であり、
自らの想像力の欠如を隠さんがための言い訳に過ぎない。
古いものを、現代でも活き活きと利用できる想像力を、
我々は身に付けてゆきたい。


コメント(0) 
共通テーマ:学校

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

2012-05-17春季北信越 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。